近年、福岡県で屋外で猫に餌を与えていた女性がコリネバクテリウム・ウルセランスという細菌に感染して死亡する事例があり、猫から感染したものとみられています。このように、動物から人に感染する病気のことを、「人と動物の共通感染症」と言い、他にも、エボラ出血熱、狂犬病、鳥インフルエンザ(H5N1,H7N9)など、世界で800種類以上あると言われています。
こうした人と動物の共通感染症や、抗菌薬が効かなくなる薬剤耐性(AMR)など、公衆衛生上の重大な危機になると認識されている分野横断的な問題に対して、医師・獣医師・行政関係者など人・動物・環境の衛生に関わる人が連携して取り組む考え方を「ワンヘルス」といい、世界的に広がっています。
平成28年には、北九州市で、世界の医師、獣医師らが参加する「ワンヘルスに関する国際会議」が開催され、「ワンヘルス」の実践段階に向けて、医師と獣医師の協力関係を強化することなど4項目からなる「福岡宣言」が採択されました。
こうした状況を踏まえ、本県でも安全で安心な社会を構築するため、人・動物・環境の衛生に関わる「ワンヘルス」に関する施策を推進するとともに、県民の皆さんに「ワンヘルス」の理念を理解してもらえるよう、シンポジウムや県ホームページ等を通じて情報発信を行います。