「養育費」と「親子交流」について
父母が離婚後も適切な形でこどもの養育に関わり、その責任を果たすことは、こどもの利益を確保するために重要です。そのため、離婚をするときに話し合っておくべきことに「養育費」と「親子交流」があります。
民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について
令和6年5月17日、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が成立しました(同月24日公布)。
この法律は、父母の離婚等に直面する子の利益を確保するため、子の養育に関する父母の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親子交流、養子縁組、財産分与等に関する民法等の規定を見直すものです。
この法律は、一部の規定を除き、上記公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日に施行されます。
詳細については、下記PDFまたは法務省ホームページをご確認ください。
養育費について
養育費とは、こどもを監護・教育するために必要な費用のことをいいます。一般的には、経済的・社会的に自立していないこどもが自立する(例えば、大学等を卒業する)までに要する費用を意味し、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれに当たります。
こどもを育てることは親の義務です。離婚後にこどもと暮らす親だけでなく、離れて暮らすこととなった親も、こどもの親であることに変わりはなく、こどもの成長を支えるという親の責任も変わりません。離れて暮らすことになる親も、こどもに対して自分と同じ水準の生活ができるようにする義務があります。
養育費の取り決めについて
養育費の取り決めにおいては、金額、支払期間、支払方法、臨時の費用などの取り扱いについて、できるだけ具体的に明記したうえで、父母が署名するなどして、後々取り決めの内容について争いが生じないようにすることが大切です。取り決めを記載した内容は、公正証書にしておくことをお勧めします。父母の話し合いで決めることができない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。
離婚する際に取り決めることができなかった場合は、離婚後、こどもが経済的・社会的に自立するまでは、いつでも養育費を請求することできます。
詳細については、法務省ホームページをご確認ください。
親子交流について
親子交流とは、こどもと離れて暮らす親が、こどもと定期的、継続的に、会って話をしたり、一緒に遊んだり、電話や手紙、SNSなどで交流することをいいます。こどもは親子交流を行う中で、両親のどちらからも大切にされていると安心感を得ることができ、そのことが生きていく上での大きな力となります。
親子交流の取り決めについて
親子交流の取り決めにおいても、頻度、内容、場所、急に親子交流を行えなくなったときの調整などについて、できるだけ具体的に明記したうえで、父母が署名するなどして、後々取り決めの内容について争いが生じないようにすることが大切です。養育費と同様に取り決めを記載した内容は、公正証書にしておくことをお勧めします。父母の話し合いで決めることができない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。
※相手から身体的、精神的暴力を受けるおそれがあるなど、交流をすることで、かえってこどもの安心・安全を害する場合にまで交流を行う必要はありません。
取り決め文章の作成について
こどもの養育費や親子交流について話し合いができたら、「合意書」を作成しましょう。離婚届を出す際に「合意書」を提出する必要はありませんが、こどもの健やかな成長のためにも、できる限り作成するように努めてください。2通作成し、双方が1通ずつ保管してください。
こどもの成長や、離婚後の父母の状況によっては、合意書の修正・変更が必要になることがあるかもしれません。その場合も、よく話し合い、こどもに十分に配慮するようにしましょう。
合意書を作成しやすくするために、法務省のウェブサイトに「こどもの養育に関する合意書」のひな形が掲載されていますので、ご参照ください。
また、公証人が作成する「公正証書」で養育費の取決めをしておくと、養育費が支払われなかったときでも、相手の財産を差し押さえるなどして、そこから養育費を回収する裁判上の手続(強制執行)を利用することができます。最寄りの公証役場をご確認ください。
養育費の受け取りや親子交流に関しての相談について
養育費の受け取りや親子交流に関して、困りごとがある場合は弁護士などの専門家にご相談ください。