子宮頸がんは近年20代や30代の若年層で増加傾向にあります。この子宮頸がんは、発がん性のHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスの持続的な感染が原因となって発症します。このウイルスに感染すること自体は決して特別なことではなく、性交経験がある女性であれば誰でも感染する可能性があります。HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染しても、ほとんどの場合はウイルスが自然に排除されますが、ウイルスが排除されずに長期間感染が続く場合があり、一部のケースで、数年から十数年かけて前がん病変の状態から子宮頸がんを発症します。
HPVワクチンは、すべての発がん性HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を防ぐものではありませんが、子宮頸がんの原因となるウイルスの中で約50%から70%を占めているHPV16型、18型の感染を防ぐことができます。このワクチンは、HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染している人に対しては有効性が低いことから、感染の機会を得る前の接種が推奨されています。
お知らせ
HPVワクチンは、積極的勧奨の差し控えにより接種機会を逸した人(平成9年4月2日から平成20年4月1日生まれまでの女子)に対して、令和4年4月1日から令和7年3月31日まで、予防接種法に基づく接種ができる「キャッチアップ接種」を行うことができます。希望される方は母子保健係までご連絡ください。
HPVワクチン 定期予防接種
対象者
小学6年生から高校1年生までの女子 (標準的な接種時期:中学1年生の女子)
※対象年齢を過ぎると有料になりますのでご注意ください。
接種回数
3回接種 (3回の接種を完了するには半年から1年程度かかります。)
※15歳までに初回接種を行う場合は2回接種
高校2年生・高校3年生は期間延長の対象です
公費対象期間延長の対象者です。
●平成19年4月2日から平成20年4月1日までの間に生まれた女子(高校2年生)
令和4年度:通常の定期接種期間
令和5年度:通常の定期接種期間
令和6年度:キャッチアップ接種期間(令和7年3月31日まで接種可能)
●平成18年4月2日から平成19年4月1日までの間に生まれた女子(高校3年生)
令和4年度:通常の定期接種期間
令和5年度:キャッチアップ接種期間
令和6年度:キャッチアップ接種期間(令和7年3月31日まで接種可能)
HPVワクチン キャッチアップ接種
対象者
平成9年4月2日から平成20年4月1日までの間に生まれた女子
接種期限
令和7年3月31日まで
接種回数
1回から3回接種
※不足している回数分を1回目に接種したワクチンと同じワクチンで3回接種します。
※3回摂取する場合、半年から1年程度かかります。
HPVワクチンの積極的勧奨の差し控えにより、キャッチアップ対象者(上記対象者)が令和4年3月31日までに自費で接種した場合は払い戻しを受けることができます。詳しくは母子保健係(電話:32-1177)までご連絡ください。
HPVワクチン 接種の受け方
事前に、ホームページや厚生労働省のリーフレット等をよくお読みになり、ワクチンの有効性及び安全性等について十分にご理解ください。
・予診票
・住所、年齢が確認できるもの(健康保険証など)
・母子健康手帳
※13歳未満の人は、接種当日必ず保護者が同伴してください。
13歳以上16歳未満の人は、予診票に保護者の同意の署名(2ヶ所)がある場合に限り、保護者の同伴は不要です。
接種できる医療機関(市内)
必ず事前に予約をしてください。
医療機関名 | 所在地 | 電話番号 |
---|
有吉病院 | 上有木 | 33-3020 |
祷若宮医院 | 沼口 | 52-1777 |
尾上小児科 | 宮田 | 32-0084 |
下川医院 光陵パークサイドクリニック | 鶴田 | 32-0073 |
しもかわクリニック | 磯光 | 28-7310 |
杉坂クリニック | 宮田 | 32-3650 |
宮田病院 | 本城 | 32-3000 |
HPVワクチンについて
種類
HPVワクチンには、2価(サーバリックス)と4価(ガーダシル)、9価(シルガード)の3種類があり、種類によって接種間隔が異なります。
詳細は医療機関にお尋ねください。
接種間隔 |
2価ワクチン(サーバリックス) |
4価ワクチン(ガーダシル) |
9価ワクチン(シルガード) |
標準 |
2回目:初回接種から1ヶ月後 |
2回目:初回接種から2ヶ月後 |
※1回目の摂取を15歳になるまでに受ける場合 2回目:初回接種から6ヶ月後 |
3回目:初回接種から6ヶ月後 |
3回目:初回接種から6ヶ月後 |
※1回目の接種を15歳になってから受ける場合 2回目:初回接種から2か月後 3回目:初回接種から6ヶ月後 |
上記方法をとることができない場合 |
2回目:初回接種から1ヶ月以上 |
2回目:初回接種から1ヶ月以上 |
※1回目の摂取を15歳になるまでに受ける場合 2回目:初回接種から5か月未満の場合3回目接種が必要 |
3回目:初回接種から5ヶ月以上かつ2回目から2月半以上 |
3回目:初回接種から3ヶ月以上 |
※1回目の接種を15歳になってから受ける場合 2回目:初回接種から1か月以上 3回目:初回接種から3か月以上 |
有効性・安全性
ワクチンの有効性・安全性等詳しい情報は厚生労働省が発行しているリーフレット等をご覧ください。
接種後の副反応
定期接種対象の3種類のワクチンの接種後の症状として頻度の高いものは、接種部位の疼痛、発赤(紅斑)、腫脹です。
発生頻度 |
2価ワクチン(サーバリックス) |
4価ワクチン(ガーダシル) |
9価ワクチン(シルガード) |
50%以上 |
疼痛、発赤、腫脹、疲労 |
疼痛 |
疼痛 |
10~50%以上 |
掻痒、胸痛、筋痛、関節痛、頭痛等 |
腫脹、紅斑 |
腫脹、紅斑、頭痛 |
1~10%以上 |
蕁麻疹、めまい、発熱等 |
掻痒、頭痛、発熱 |
浮動性めまい、悪心、下痢、掻痒感、発熱、疲労、内出血 |
1%未満 |
注射部位の知覚異常、感覚鈍麻、全身の脱力 |
硬結、四肢痛、骨格筋硬直、腹痛、下痢、出血、不快感、倦怠感 |
嘔吐、腹痛、筋肉痛、関節痛、出血、血腫、倦怠感。硬結 |
頻度不明 |
四肢痛、失神、リンパ節症等 |
疲労・倦怠感、失神、筋肉痛関節痛、嘔吐 |
感覚鈍麻、失神、四肢痛 |
(サーバリックス添付文書(第14版)、ガーダシル添付文書(第3版)、シルガード添付文書(第1版)より改編)
頻度は低いですが、アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸器症状を呈する重いアレルギー)、ギランバレー症候群(脱力などを呈する末梢神経の疾患)、急性散在性脳脊髄炎(頭痛、嘔吐、意識障害などを呈する中枢神経の疾患)などの重篤な副反応も報告されています。
参考: 厚生労働省ホームページ:「厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)」(外部リンク)
HPVワクチン接種後1週間は副反応の発現に注意しましょう。接種後、高熱やけいれん、接種部位の大きな腫れなど異常な反応や体調の変化があった場合は、速やかに医師の診察を受けましょう。詳しい情報は「厚生労働省リーフレット~ HPVワクチンを受けたお子様と保護者の方へ~」(PDF:1.24メガバイト)
をご覧ください。
接種後に生じた症状の相談・救済制度
HPVワクチン接種後に気になる症状が生じた場合は、まずは接種を行った医師またはかかりつけの医師にご相談ください。
また、厚生労働省相談窓口も設置しています。
●厚生労働省相談窓口
電話:050-3818-2242
受付時間:平日、午前9時から午後5時まで(祝日・年末年始を除く)
また、HPVワクチン接種後に生じた診療に係る協力医療機関を、厚生労働省が公表していますのでご参照ください。
福岡県内での相談協力医療機関
・九州大学病院(麻酔科・蘇生科)
・福岡市立こども病院(総合診療科)
・飯塚病院(小児科)
・久留米大学病院(婦人科)
・産業医科大学病院(産婦人科(高校生以上))
予防接種法に基づく予防接種を受けた人に健康被害が生じた場合、その健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは、市町村により給付されます。
申請に必要となる手続き等は、予防接種を受けた時に住民票を登録していた市町村にご相談ください。
厚生労働大臣の認定は、第三者により構成される疾病・障害認定審査会により、因果関係に係る審査が行われます。詳しくは厚生労働省ホームページ:「予防接種健康被害救済制度について」(外部リンク)をご覧ください。
子宮頸がん検診
HPVワクチンですべての子宮頸がんを予防できるわけではありません。早期発見・早期治療のために、ワクチン接種後も20歳を過ぎたら定期的に子宮がん検診を受診し、予防効果を高めましょう。