神戸港絵馬(こうべこうえま)は、宮若市下の日吉神社の拝殿に掲げてあります。大きさは、縦154センチメートル、横189センチメートルです。
明治16年(1883年)に描かれた絵馬で、右上に「神戸港之春景 衣笠探筆」と描かれています。絵師は福岡藩の御用絵師であった衣笠探谷で、神戸港の春の景色を鳥瞰図的に描かれている。縁にこの絵馬を奉納した、小伏・下・湯原村の6人の名が記されている。この6人が、伊勢参宮の折に神戸港に寄り、錦絵を買って絵師に依頼したものと推察できます。
神戸港は、慶応3年(1867)に外国との条約に基づいて開港された港で、この時代、外国商館が立ち並ぶ、国際色豊かで文明開化のみなぎる町でした。この絵馬は、六甲山を背景に、桜の咲いた神戸港の様子が、事細かに描かれていて、洋館の建物、人物、蒸気機関車、蒸気船や和船、人力車や馬車など、当時の神戸港の様子がよくわかります。
さらに、波止場に洋傘をさした6人の旅姿の人物が、描かれている。絵馬を奉納した6人と思われ、港の賑わいに驚いた様子が伺え、ユーモラスを感じます。
当時の神戸港の様子と、若宮地域の庶民の生活がよくわかるので、民俗資料として貴重なものです。