我が国では少子高齢化、核家族化、価値観の多様化、情報化等により、子どもたちを取り巻く社会環境は大きく変化しています。近年では、家庭や地域社会の教育力の低下、基本的な生活習慣の未確立、規範意識の低下、人間関係を形成する力の低下などが指摘されています。
また、現行の6・3制による教育制度が始まった60年前と比べて、子どもの身体的成長が2年程度早熟化し、心と身体の成長がアンバランスになる年齢が早まっていることから、義務教育9年間の教育区分を見直すことについて論議が進められています。
そこで、宮若市では、今日的な教育課題の解決に向け、小中学校9年間という見通しをもって連続性のある教育課程を編成し、充実した教育活動を展開するため、平成28年4月より市内の全小中学校で小中一貫教育を実施しています。
小中一貫教育の導入
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【前期(小1~小4)】 ・小1・小2 学校の生活になじませ、基本的な学習・生活習慣等の確立に取り組みます。 ・小3・小4 基礎学力及び基礎体力を向上させ、進んで友達や地域の人々に関わろうとする態度を育みます。 【中期(小5~中1)】 自分の力で学ぶ技能や態度を育てるとともに、相手の立場に立ったコミュニケーション能力を高め、自己肯定感を向上させます。 【後期(中2~中3)】 自ら課題を見出し解決する力を高め、自己の生き方を考え、より高い目標に向けて努力しようとする態度を育てます。 |
なぜ小中一貫教育なの?
「中1ギャップ」の解消
中学校進学後に就学環境の変化からいじめや不登校、暴力行為などが急激に増える「中1ギャップ」。中学校に入ると学習内容が大幅に増えること、教科ごとに教員が変わること、先輩・後輩の上下関係などさまざまな要因から起こるといわれています。これが小中一貫校では、小学校・中学校の教員同士が協力して指導にあたるため、学習面における急激な変化が起こりにくくなります。また、小学生・中学生が学校行事などを通して一緒に活動することで、自然と上下関係も身につくと考えられます。
9年間を通した学習
小学校で習う学習は全ての学習の基礎となり、中学校で習う学習の範囲とそれぞれ対応・関連しています。しかし、中学校での学習で、過去の内容と関連づけることができず、難しさを感じている場合も少なくありません。そのような問題に対して、小中一貫校では9年間を通した学習カリキュラムを組むことができるため、それぞれの段階で習う単元と過去の学習内容をより効率的に関連づけることができます。
小中一貫教育ってどんなものなの?
小中一貫教育は、小学校6年間と中学校3年間の義務教育期間を一体としてとらえ、中学校区ごとに共通の目標(育てたい子ども像など)を設定し、9年間を見通した教育を実施していきます。
また、学習指導要領に基づき、連続性・一貫性を持った教育課程を編成し、義務教育期間9年間を「4・3・2」の教育区分として指導が実施されます。これは、子どもたちの体の成長が今の「6・3」の教育制度が始まった戦後の頃よりも、約2,3年早まっているといわれており、それにあわせて指導も見直していく必要性があると考えられているためです。また、発達の特性から10歳頃になると具体的思考から論理的・抽象的な考え方ができる段階へ移行する時期だと言われており、小中へのスムーズな移行のため、中期で乗り入れ授業を実施するなど工夫した取り組みを行っていきます。
具体的にはどんなことをするの?
英語教育の充実
小・中の連続性、系統性のある教育を充実させることで、英語を使ってコミュニケーションをとることのできる態度や能力を育てます。
詳しくは「英語教育の充実」のページをご覧ください。
乗り入れ授業の実施
乗り入れ授業とは、定期的に中学校の教員が小学校で授業をしたり、小学校の教員が中学校で授業をすることです。
教育区分の中期にあたる小学校5年生から中学校1年生を中心に行うことで、小中の授業形態のスムーズな移行や、専門的な授業の質の向上が期待されます。
キャリア教育の推進
キャリア教育とは、よりよい人間関係を築いたり、自分自身を知り、自分を管理したり、さまざまな課題を解決したり将来に夢を持ち、自分の将来を設計したりする力を育てようとする教育のことです。
2分の1成人式や立志式、地域社会に出ての清掃活動や、高齢者とのふれあい活動などがあります。
宮若市小中一貫教育基本方針