○宮若市手話言語条例

令和4年12月26日

条例第12号

言語は、お互いの意思や感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。

手話は、手や指、体の動きや顔の表情を使う独自の語彙や文法体系をもつ、日本語とは異なる言語である。手話は、ろう者にとって、聞こえる人たちの音声言語と同様に、意思疎通を図るために必要な言語であり、情報の獲得とコミュニケーションの大切な手段として守られてきた。

しかしながら、これまで手話が言語として社会的に認知されてこなかったことや手話を使用することができる環境が整えられてこなかったことから、ろう者は、必要な情報を得ることもコミュニケーションをとることも十分にできず、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。

こうした中で、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話が言語として位置付けられたものの、手話に対する理解が十分に広がっているとは言えない。

これを踏まえ、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解を広め、全ての市民等が地域で支え合い、もって障がいのある人もない人も共に尊重し合う共生社会を実現するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるという認識に基づき、手話に対する理解の促進及び手話の普及に関する基本理念を定め、市の責務並びに市民等及び事業者の役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に手話に関する施策を推進し、もって障がいのある人もない人も共にいきいきと暮らせる共生のまちづくりを実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) ろう者 手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。

(2) 市民等 市内に住所又は居所を有する者、市内に存する事務所又は事業所に勤務する者及び市内に存する学校に在学する者をいう。

(3) 事業者 市内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体をいう。

(基本理念)

第3条 手話に対する理解の促進及び手話の普及は、ろう者が自立した生活を営み、ろう者の地域における社会参加を進めるために、ろう者が手話により情報を得る権利を有することを基本として行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念にのっとり、手話を普及し、あらゆる場面で手話による意思疎通を行うことができるようにし、並びにろう者の自立した日常生活及び地域における社会参加を保障するため、必要な施策を講ずるものとする。

(市民等の役割)

第5条 市民等は、手話に対する理解を深めるとともに、第7条第1項各号に掲げる市の施策(次項及び次条において「市の施策」という。)に協力するよう努めるものとする。

2 ろう者は、市の施策に協力するとともに、手話や手話の意義の普及に努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、市の施策に協力するよう努めるとともに、ろう者を雇用するときは、ろう者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。

(施策の実施)

第7条 市は、次に掲げる施策を実施するものとする。

(1) 手話に対する理解の促進及び手話の普及に関する施策

(2) 手話により情報を得る機会の拡大に関する施策

(3) 手話通訳者の派遣その他意思疎通の支援に関する施策

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策

2 市は、前項に掲げる施策の実施状況について、ろう者、手話通訳者その他の関係者と意見を交換し、互いに協議して検証するものとする。

(財政措置)

第8条 市は、手話に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

宮若市手話言語条例

令和4年12月26日 条例第12号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第4節 障害者福祉
沿革情報
令和4年12月26日 条例第12号