○宮若市職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例
平成20年12月26日
条例第21号
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 公益通報
第1節 公益通報があった場合の措置(第6条―第9条)
第2節 公益通報者等の保護(第10条―第15条)
第3節 他人の正当な利益の尊重(第16条・第17条)
第4節 公益通報に係るその他の措置(第18条)
第3章 不当要求行為に対する対応(第19条・第20条)
第4章 宮若市法令遵守審査会(第21条―第24条)
第5章 補則(第25条・第26条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、職員等による法令遵守の確保及び不正行為の防止を図るため必要な事項、公益通報に関し市の機関がとるべき措置及び公益通報者等の保護に関する事項並びに職員等への不当要求行為に対する措置を定めることにより、公正な市政の運営を図り、もって市政に対する市民の信頼を確保することを目的とする。
(1) 職員等 地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「地公法」という。)第3条第2項に規定する一般職の職員、同条第3項に規定する特別職の職員のうち市長、副市長及び教育長、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「自治法」という。)第138条の4第1項に規定する委員会又は委員及び同条第3項に規定する附属機関の構成員並びに地公法第22条の3第4項に規定する臨時的任用職員等市の機関の事務を補助する職員をいう。
(2) 任命権者 地公法第6条第1項に規定する任命権者(同条第2項の規定により権限を委任された者を含む。)をいう。
(3) 事業者等 市が業務を委託している法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。)その他の団体(その利益のために行為を行う場合における役員、従業員、代理人その他の者を含む。)及び事業を行う個人等をいう。
(4) 市民等 市内に住所を有する者、市内に滞在する者、市内に所在する土地、建物、店舗、事業所等の所有者及び管理者並びに市の業務の委託を受けようとするものをいう。
(5) 要望等 職員等の職務に関する要望、提言、提案、相談、意見、苦情、依頼その他これらに類するものをいう。
(6) 委託事務等 市の事務又は事業を事業者等に委託し、又は請け負わせる場合及び公の施設の管理を自治法第244条の2第3項に規定する指定管理者に行わせる場合における当該事務又は事業をいう。
(7) 法令等 法律及び法律に基づく命令並びに条例及び規則等をいう。
(8) 通報対象事実 職員等又は事業者等の委託事務等に係る職務の執行に関する事実(通報する者が受けた処分、措置に係るものその他通報する者自らの私的利益に係るものを除く。)であって、法令等に違反し、又は人の生命、身体、財産及び生活環境に重大な損害を与える事実をいう。
(9) 公益通報 通報対象事実が生じ、又は生じるおそれがある旨を、任命権者又は事業者等若しくは第21条に規定する宮若市法令遵守審査会(以下「審査会」という。)に通報することをいう。
(10) 不当要求行為 規則で定める暴力行為等社会常識を逸脱した手段により、公正な職務の執行を損なうおそれのある行為をいう。
(職員等の責務)
第3条 職員等は、常に法令等を遵守し、公正な職務の執行に当たらなければならない。
2 職員等は、常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織の私的利益のために用いてはならない。
3 職員等は、法令等に基づく権限の行使に当たっては、市民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない。
4 職員等は、公正な職務を執行する際に受ける市民等からの要望等を口頭により受けたときは、その内容を確認し、簡潔に記録をするものとする。この場合において、当該記録をするに当っては、不実又は虚偽の記載をしてはならない。
(1) 公式又は公開の場における要望等であって、議事録その他これに類するものとして別途記録がなされるとき。
(2) 要望等の内容が単なる問い合わせ又は事実関係の確認にすぎないことが明白であるとき。
(3) 要望等の内容が次のいずれかに該当するとき(当該要望等の内容が自己又は第三者に特別の利益又は不利益を与えることを求めるものであって、公正で公平な市政運営を阻害するおそれがあると認めるときを除く。)。
ア 日常的に行われる営業活動に係るもの
イ 多数の者が利用する公の施設における利用者その他の関係者との間で日常的になされるもの
ウ 相談業務における要望等で職員等が多数の要望者に順次応対するような場合であって、記録することが困難なもの
エ 相談業務における要望等でその場で用件が終了し、職員等が要望者に対して改めて対応し、又は回答する必要がないもの
6 職員等は、不当要求行為があったときは、これを拒否しなければならない。
7 職員等(この項及び第6条第1項において市長を除く。)は、不当要求行為があったときは、直ちに上司及び所属長に報告しなければならない。
(任命権者の責務)
第4条 任命権者は、常に公正な市政の運営を図り、市政に対する市民の信頼を確保するよう十分に配慮するとともに、この条例の定めるところに従い、公益通報及び不当要求行為に適切に対処しなければならない。
2 任命権者は、職員等が常に公正な職務の執行に当たることができるよう、法令等の遵守に関する啓発及び研修の実施、相談支援の体制及び環境の整備その他必要な措置を講じなければならない。
(事業者等の責務)
第5条 事業者等は、委託事務等を行うに当たっては、常に公正であることを旨とし、市民の疑惑や不信を招くことのないよう十分に配慮するとともに、この条例の定めるところに従い、公益通報に適切に対処しなければならない。
2 事業者等は、委託事務等を処理するに当たっては、常に法令等を遵守し、公正な職務の執行に当たらなければならない。
第2章 公益通報
第1節 公益通報があった場合の措置
(審査会への報告等)
第6条 職員等の上司及び所属長は、職員等から公益通報又は次項の規定による報告を受けたときは、速やかに当該通報対象事実の内容について任命権者を経由して審査会に報告しなければならない。
2 事業者等は、その委託事務等について公益通報を受けたときは、速やかに当該通報対象事実の内容を当該公益通報に係る任命権者に報告しなければならない。
3 審査会は、第1項の規定による報告を受けた場合又は審査会自ら公益通報を受けた場合において、当該通報対象事実について調査その他の措置を講じる必要があると認めるときは、その旨を当該公益通報に係る任命権者(当該公益通報が委託事務等に係るものであるときは、当該委託事務等に係る任命権者。以下この節において同じ。)に通知しなければならない。
(通報対象事実に係る調査)
第7条 審査会の委員は、前条第1項の規定による報告を受けたとき又は審査会自ら公益通報を受けたときは、直ちに通報対象事実に係る調査を行わなければならない。
2 任命権者及び職員等並びに事業者等は、審査会が行う調査に協力しなければならない。
3 審査会は、第1項の規定による調査の結果、通報対象事実がないと認めたときは、速やかにその旨及び調査の内容を任命権者に報告しなければならない。
(是正措置等)
第8条 職員等に係る職務の執行に関する事実について、前条第1項の規定による調査の結果、通報対象事実があると認めるときは、審査会は任命権者に対して直ちに当該通報対象事実の中止又は是正のために必要な措置、法令等に基づく措置、再発防止のために必要な措置その他の適当な措置を講じるよう通知しなければならない。
2 事業者等に係る職務の執行に関する事実について、前条第1項の規定による調査の結果、通報対象事実があると認めるときは、審査会は当該公益通報に係る任命権者に、当該事業者等に対して、直ちに当該通報対象事実の中止又は是正のために必要な措置及び再発防止のために必要な措置を講じるよう勧告するとともに、当該任命権者は法令等に基づく措置、再発防止のために必要な措置その他の適当な措置を講じなければならない。
3 任命権者は、前2項の措置を講じた場合、速やかに措置の内容を審査会に報告しなければならない。
(公益通報をした者への通知)
第9条 公益通報が、書面その他規則で定める方法により、具体的な事実を摘示された場合において、当該通報対象事実について、調査その他の措置を講じたとき又は講じないこととしたときは、任命権者又は審査会は、その旨を当該公益通報をした者に通知しなければならない。ただし、その者が通知を希望しないときは、この限りでない。
第2節 公益通報者等の保護
(不利益取扱いの禁止)
第10条 何人も、公益通報をしたこと又は当該通報対象事実に係る調査に協力したことを理由として、公益通報者等に対し不利益な取扱いをしてはならない。
(不利益取扱いに係る申出)
第11条 任命権者は、公益通報者等から、公益通報をしたこと若しくは当該通報対象事実に係る調査に協力したことを理由として、不利益な取扱いをされた旨の申出(書面その他規則で定める方法により具体的な事実を摘示されたものに限る。)を受けたとき又は事業者等から次項の規定による報告を受けたときは、直ちに当該申出又は報告の内容を審査会に報告しなければならない。
2 事業者等は、公益通報者等から前項に規定する申出を受けたときは、直ちに当該申出の内容を当該委託事務等に係る任命権者に報告しなければならない。
(不利益取扱いに係る申出に係る事実の調査)
第12条 任命権者は、審査会から前条第3項の規定による求めがあったときは、直ちに調査を行わなければならない。
(不利益回復措置等)
第13条 任命権者は、前条第1項の規定による調査の結果、任命権者又は職員等による不利益な取扱いがあると認めるときは、直ちに公益通報者等が受けた不利益を回復するために必要な措置、当該不利益な取扱いを行った職員等に対する措置その他の適当な措置を講じなければならない。
2 任命権者は、前条第1項の規定による調査の結果、事業者等による不利益な取扱いがあると認めるときは、直ちに当該事業者等に対し、公益通報者等が受けた不利益を回復するために必要な措置、当該不利益な取扱いを行った事業者等に対する措置その他の適当な措置を講じるよう勧告しなければならない。
3 前2項の場合においては、任命権者は、速やかに調査の結果及び措置の内容を審査会に報告しなければならない。
4 任命権者は、前条第1項の規定による調査の結果、任命権者若しくは職員等又は事業者等による不利益な取扱いがないと認めたときは、速やかに、その旨及び調査の内容を審査会に報告しなければならない。
(不利益取扱いをされた旨の申出をした公益通報者等への情報提供等)
第14条 任命権者又は審査会は、第11条第1項に規定する申出を行った者から、当該申出に係る調査その他の措置の進捗状況について、規則で定めるところにより情報提供の求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない。
(公益通報に係る情報の取扱い)
第15条 公益通報の有無及び内容並びに第11条第1項に規定する申出の内容に関する情報は、当該公益通報又は申出に係る事件の処理が終了するまでは、公開してはならない。ただし、生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、当該情報を公開することが必要であると認められる場合については、この限りでない。
2 公益通報に関する個人情報の取り扱いについては、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の定めるところによる。
3 事業者等又は事業者等であった者は、正当な理由なく公益通報に係る事務の処理に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
第3節 他人の正当な利益の尊重
(他人の正当な利益等の尊重)
第16条 公益通報をする者は、他人の正当な利益又は公共の利益を害することのないよう努めなければならない。
(不利益を受けた者に対する措置)
第17条 任命権者は、公益通報に係る通報対象事実がなかったこと、通報対象事実に誤りがあったことその他の理由により不利益を受けた者があると認めるときは、直ちにその旨を審査会に報告しなければならない。
2 審査会は、前項の規定による報告を受けた場合又は第7条第1項の規定により調査を行った場合において、公益通報に係る通報対象事実がなかったこと、当該通報対象事実に誤りがあったことその他の理由により不利益を受けた者があると認めるときは、当該報告又は当該通報対象事実に係る任命権者(当該報告又は当該通報対象事実が委託事務等に係るものであるときは、当該委託事務等に係る任命権者)に対し、当該不利益を受けた者の不利益を回復するために必要な措置を講じるよう通知しなければならない。この場合において、通知を受けた任命権者は、直ちに当該通知に従い必要な措置を講じるとともに、その内容を審査会に報告しなければならない。
第4節 公益通報に係るその他の措置
(不正目的の公益通報の通知)
第18条 審査会は、公益通報をした者が職員等又は事業者等である場合において、その者が不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他の不正な目的で公益通報をしたと認めるときは、その旨を任命権者に通知するものとする。この場合において、当該通知が事業者等に係るものであるときは、任命権者は当該通知の内容を当該事業者等に通知するものとする。
2 任命権者は、公益通報をした者が事業者等である場合において、その者が不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他の不正な目的で公益通報をしたと認めるときは、審査会の意見を聴いた上で、その旨を当該事業者等に通知するものとする。
第3章 不当要求行為に対する対応
(不当要求行為に対する対応)
第19条 任命権者は、不当要求行為の行為者(法人その他の団体(以下「法人等」という。)の代表者又は法人等若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人等又は人の業務に関し、不当要求行為をしたときは、その法人等又は人を含む。次条において同じ。)に対する書面による警告、捜査機関への告発その他不当要求行為を中止させるために必要な措置を講じるものとする。
2 任命権者は、前項の規定による措置を講じる場合において、必要があると認めるときは、当該措置について審査会に意見を求めることができる。
(勧告及び公表)
第20条 任命権者は、前条第1項の規定による措置を講じたにもかかわらず、不当要求行為の行為者が不当要求行為を中止しないときは、その旨を公表することができる。
2 任命権者は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ当該不当要求行為の行為者にその理由を通知し、意見を聴くとともに、有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。ただし、審査会が特別の理由があると認めるときは、この限りでない。
第4章 宮若市法令遵守審査会
(審査会の設置及び権限)
第21条 公益通報及び不当要求行為に関する調査、審査等を行うため、自治法第138条の4第3項の規定に基づき宮若市法令遵守審査会を設置する。
2 審査会は、前項に定めるもののほか、この条例の施行に関する重要な事項について、市長の諮問に応じて調査し、又は審査するほか、市長に意見を述べることができる。
(審査会の組織)
第22条 審査会は、3人の委員をもって組織する。
2 審査会の委員は、学識経験者その他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。
3 審査会の委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(調査委員)
第23条 審査会に、その権限に属する事項について調査させるため必要があるときは、調査委員を置くことができる。
2 調査委員は、学識経験者その他適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。
3 調査委員は、その者の委嘱に係る事項に関する調査が終了したときは、解嘱されるものとする。
4 前条第4項の規定は、調査委員について準用する。
(会議の非公開)
第24条 審査会の行う審査は、公開しない。ただし、第21条第2項に規定する事項に関する審査については、特段の支障がない限り、公開して行うものとする。
第5章 補則
(運用状況の公表)
第25条 市長は、毎年1回、この条例の運用の状況を取りまとめ、規則に定める方法により公表するものとする。
(委任)
第26条 この条例の施行に関し、必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、平成21年4月1日から施行する。
附則(平成27年3月30日条例第3号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成27年4月1日から施行する。
(宮若市職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例の一部改正に伴う経過措置)
6 この条例の施行の際現に地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律附則第2条第1項の規定により教育長がなお従前の例により在職する場合においては、第5条の規定による改正後の宮若市職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例第2条第1号の規定は適用せず、第5条の規定による改正前の宮若市職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例第2条第1号の規定は、なおその効力を有する。
附則(令和元年12月27日条例第21号)
この条例は、令和2年4月1日から施行する。
附則(令和5年3月28日条例第1号)抄
(施行期日)
1 この条例は、令和5年4月1日から施行する。