SFTSウイルス(SFTSV)に感染すると、6日から2週間の潜伏期を経て、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が多くの症例で認められ、その他頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こします。血液所見では白血球減少、血小板減少、血清酵素(AST、ALT、LDH)の上昇が多くの症例で認められます。致死率は6.3%から30%と報告されています。
感染経路はマダニ(フタトゲチマダニなど)を介したものが中心ですが、血液等の患者体液との接触によりヒトからヒトへの感染も報告されています。治療は対症的な方法しかなく、有効な薬剤やワクチンはありません。
厚生労働省ホームページ「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について(外部リンク)」のページ
感染を防ぐためには、マダニに咬まれないようにすることが重要です。
マダニは、世界中に800以上の種が知られており、そのうち日本には47種が生息しています。マダニの多くは、春から秋(3月から11月)にかけて活動が活発になりますが、冬季も活動する種類もいます。マダニは、ヒト以外に、野ネズミ、野ウサギ、シカ、イノシシなどの野生動物や、ネコ、散歩中のイヌなども吸血しています。
マダニに咬まれないよう、下記のことを参考に防護策をとりましょう。
●マダニから身を守る服装
マダニはシカやイノシシ、野ウサギなどの野生生物が出没する環境に多く、民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道などにも生息しています。マダニが多く生息する場所に入る場合は、長袖・長ズボンを着用し、腕・足・首など、肌の露出を少なくしましょう。
・首にはタオルを巻くか、ハイネックのシャツを着用しましょう。
・シャツの袖口は、軍手や手袋の中に入れ、裾はズボンの中に入れましょう。
・農作業や草刈りなどでは、ズボンの裾は長靴の中に入れましょう。
・ハイキングなどで山林に入る場合は、ズボンの裾に靴下を被せましょう。
●屋外活動後は
・上着や作業着は家の中に持ち込まないようにしましょう。
・シャワーや入浴で、ダニが付いていないかチェックしましょう。
・ガムテープを使って服に付いたダニを取り除く方法も効果的です。
●忌避剤の効果
日本では、マダニ用に市販されている忌避剤は今のところありません。ツツガムシ(ダニ目ツツガムシ科)を忌避する用途で、衣類に塗布して使用する忌避剤(医薬品)が複数市販されています。このような忌避剤を使用し、マダニに対して一定の効果が得られることが確認されました。
忌避剤の使用でマダニ付着数は減少しますが、マダニを完全に防ぐわけではありません。忌避剤を過信せず、様々な防護策と組み合わせて対策をとりましょう。
●ダニに咬まれたら
ダニ類の多くは、長時間(数日から10日間以上)吸血します。無理に取り除こうとせず、皮膚科を受診し、適切な処置を受けましょう。
マダニに咬まれたら、数週間程度は体調の変化に注意し、発熱等の症状が認められた場合は、医療機関を受診しましょう。